第89回都市対抗野球大会 決勝戦

先月京セラドームで近畿第1代表の座を奪い合ったチームが、今度は場所を東京ドームに移し、互いに初優勝を賭けて臨んだ今回の決勝戦。試合に先立ち行われた始球式は杉浦正則さんと松中信彦さん、アトランタ五輪でのチームメイトが当時のユニを着て登場。1球限りの真剣勝負はセンターフライでした。
 

先発は三菱重工神戸・高砂が守安、大阪ガスが温水。予想通りの先発で予想通りの投手戦となります。互いに単打や死球からの盗塁で2塁まで走者を進めるもホームは遠く、ようやく中盤に入り4回三菱神高は藤原が左中間を破るも、3塁を狙い憤死。一方の大ガスは5回古川昂がレフト線への2ベースも、続く古川昌が初球を打ち上げ捕邪飛。息詰まる投手戦が続きます。
そして試合は終盤に入り、迎えた7回裏の大ガスの攻撃は1死から伊藤がセンター前で出ると、代走の大谷が盗塁を決め、古川昂に対してフルカウント。守安は低めいっぱいに渾身の変化球を投じるも球審の手は上がらず四球、思わずその場にしゃがみこみます。ここがチャンスを見た大ガスは古川昌に代打室屋を送るも遊ゴロ、6-4-3と渡って1塁は微妙なタイミングもゲッツー!ピンチを脱した三菱神高は直後の8回表、先頭の森山がレフト前。この試合初めて無死で走者が出塁すると、渡邊送って1死2塁となったところで大ガスベンチが動き、未だ無失点の温水に代えて緒方がマウンドへ。三菱神高は1番に還る好打順も、津野和氣を連続遊ゴロに仕留めて切り抜けます。
温水が先に降板した一方で、守安はその裏も続投。しかし先頭青柳をセンター前で出し、初めて無死で走者を背負うと、小深田の三ゴロで1死2塁となり、迎えるは峰下。1-2と追い込み、外いっぱいに渾身の一球を投じるも、またも球審の手は上がらずボール…。守安は思わず仁王立ちとなり、仕切り直しとなった次の球を峰下が弾き返すと、打球は二遊間を抜け、青柳がホームに還る先制タイムリー!ついに均衡が破れ、獅子奮迅の投球を見せていた守安もここで降板。前日完封の藤井がリリーフも、土井に死球を与えて1・2塁となり、続く近本がまたもセンター前に抜けるタイムリー!守安に続いて藤井も打ち、大きな2点目が大ガスに入ります。
なお満塁も三菱神高は那賀のファインプレーで凌ぎ、2点差で9回表の攻撃へ。大ガスは緒方がそのまま続投、先頭原田を二ゴロ、藤原を中飛に打ち取って2アウトとなり、皆川も1-2と追い込んだところで一度マウンドに背を向けて軽くジャンプ。そして投じたストレートを皆川空振り、三振で試合終了!大阪ガスが優勝を果たしました。

大阪ガス3年前 の悔しさを晴らす見事な初優勝。当時勝利を確信して配られるも一部は誤って投げられ、残りはお蔵入りとなっていた紙テープが晴れてその出番を迎えました。一方の三菱重工神戸・高砂は実に48年ぶりの決勝進出、前回の一岡&橘谷さながらに今回は守安&藤井によるエースと補強投手の両輪の活躍で頂点を目指したものの、一歩及ばず。守安は 大学選手権 に続いてまたも準優勝に終わりました。橋戸賞首位打者賞(.524=11/21)は近本、久慈賞は守安、小野賞は初のベスト4進出を果たし那賀裕司と因縁の対決を実現させたセガサミー、打撃賞は三菱神高那賀、若獅子賞は大ガス小深田とJR東太田。
さて来年の大会は90回記念大会のため36チームが出場となり、近畿に割り当てられる枠は大阪ガスを含めて7。今回予選敗退して補強選手を送り込み近畿勢対決の原動力となった日本生命だけでなく、今までなかなか見られなかったチームの出場にも期待したいですね!