第86回都市対抗野球大会 決勝戦

震災の影響で京セラドームで行われたJR東日本vsNTT東日本の東京対決から4年、今回東京ドームで行われる決勝は日本生命vs大阪ガスの大阪対決。近年の関東優位の状況からすると意外なカードでしたが、それでも11991通中195通が的中。当選者が大阪に偏っているというわけでもなく、社会人野球ファンの見識の高さを見せつけられました。
先発は日生が佐川、大ガスが酒居。先手を取ったのは大ガスでした。2回裏の先頭、昨日の準決勝で待望の打撃復活もサードの守備で不安を露呈、今日はDHとして起用された伊藤がライト前で出ると、2死1・3塁となって物部が一二塁間を破るタイムリー。5回にも青柳の左中間タイムリー2ベースで追加点、なおも1死1・2塁となった場面で、日生は佐川を諦め藤井貴をマウンドに送ります。藤井貴はこの回は後続を断つも、大ガスは6回先頭の土井がレフトポール直撃弾でリードは3点に。なおも藤原がライト線に2ベース、さらに小倉がライト方向に痛烈な当たりも、ファースト廣本がジャンピングキャッチ!抜けていれば決定的な4点目が入っていただけに、まさにビッグプレーでした。
そしてこのプレーが、大ガスに行きっ放しだった流れを日生に強く引き寄せます。6回まで酒居の前に無得点に抑えられていた日生打線は7回、先頭の高橋がレフト前で出ると、廣本山本真が連続死球で無死満塁。続く上西は投ゴロで本塁封殺、1死満塁となった場面で大ガスは近藤大を投入。初戦と同じく逃げ切りにかかりますが、岩下押し出し死球、さらに古川の犠飛で2点を挙げ1点差に迫ります。
続く8回、先頭打者はパナソニックから補強の松元。対する近藤大-足立のパナソニックバッテリーも投げづらそうで四球で出すと、1死から高橋がセンターフェンス直撃の同点タイムリー3ベース!ついに日生が追いつき、さらに勝ち越しのチャンスも、ここは近藤大が意地を見せ廣本を三振に打ち取り、2死となったところで近藤大に代えて緒方を投入。予選でも出番が無く、大変な場面での今大会初登板でしたが、山本真を左飛に打ち取り見事期待に応えます。
9回は両チーム無得点に終わり、延長戦に突入。10回裏の大ガスの攻撃は先頭峰下がセカンド内野安打で出塁すると、足立送って1死2塁。伊藤とは勝負を避けた形で塁を埋めますが、続く土井に死球で満塁、一気に大ガスサヨナラの機運が高まります。打席には今塩屋、1ボールからの2球目をレフトに弾き返した打球は犠飛にも十分な距離、大ガスナインはベンチから飛び出しレフトスタンドから紙テープが投げ入れられるも、僅かに切れファール…。紙テープ回収のため仕切り直しとなり、再勝負の結果は空振り三振!続く小倉も遊ゴロに打ち取り、日生絶体絶命のピンチを脱します。
ピンチの後にチャンスありとの言葉通り、直後の11回表に日生は上西岩下の連打で1死1・3塁。今度は大ガスが絶体絶命の場面でしたが、4イニング目に入っていた緒方が古川を投ゴロ。ホームに向かう走者に目もくれず2塁に送球、見事1-6-3のゲッツー完成!その裏の大ガスは2死から青柳があと数十センチ高ければというレフトフェンス最上部直撃2ベースを放つも、続く峰下中飛で無得点。
12回も両チーム無得点に終わり、この時点で22時を過ぎたため鳴り物は封印、チアスティックと声での応援モードに。13回表の日生は先頭高橋が四球、廣本送って1死2塁の場面で、大ガスは前の回からリリーフの中谷に代えてついに猿渡登場。打席には山本真、打球は三塁線を襲うも加嶋がしっかり止め、送球も的確でアウト!伊藤に代わるサード起用に見事に応えます。するとその裏の大ガスは先頭小倉がライト線2ベースで無死2塁。ここで物部に代えて代打茂山、バントの構えも見せず打ちにいくも空振り三振…。走者を進めることができず、後続倒れ無得点。
ついに14回、かつて安田vs橘谷の投げ合いで引き分け再試合となった決勝戦の最長イニング記録に並びました。表の日生は先頭古川のレフト前から伊藤が送り、福原が歩き1死1・2塁。このチャンスに原田が三遊間を破り、古川はホームに突入も、レフト土井が元法政捕手の意地を見せるレーザービームで本塁アウト!2死となるも、高橋四球で満塁となり、打席には廣本。守備では流れを変える神プレーを見せながらも今日ここまで無安打でしたが、この7打席目の当たりはレフトにフラッと上がり、土井が飛びつくも捕れず2点タイムリー!!ついについに均衡が破れました。
この試合初めて日生がリードを奪い、その裏も藤井貴が続投。10イニング目となるマウンドでしたが気合一向に衰えず、足立を遊ゴロ、伊藤も遊ゴロ、そして土井を投ゴロに仕留め試合終了!!!4時間43分にわたる死闘を制した日本生命が18年ぶり4度目の優勝を果たしました。

日生は初戦の西部ガス戦でコールド勝ち、続く西濃戦も佐伯を打ち崩しての快勝と好発進でしたが、そこから地獄の3連続延長戦。トヨタ佐竹・上杉、王子近藤といった好投手相手にギリギリで競り勝ち、今日も藤井貴の9・2/3回にわたる熱投で勝利を引き寄せました。一方の大阪ガスは近畿第1代表、優勝候補筆頭の東京ガスを初戦で下すと安定した戦いぶりで決勝まで勝ち上がってきましたが、悲願の初優勝は無情にもその手からすり抜けていきました…。そして忘れてはならないのがパナソニック。予選はまさかの4段落ちで敗退も、補強選手が各チームで活躍、この大会の近畿勢躍進の原動力と言っても過言ではないでしょう。
橋戸賞藤井貴久慈賞若獅子賞は酒居、小野賞は王子近藤、首位打者賞は.444で日生上西。今大会はハイレベルな投手戦が目を引いた一方で、打撃賞は該当者無しとなりました。
さて今回日生が優勝したことで、日本選手権の近畿枠がさらに増枠。なかなか都市対抗では見られないチームの出場に期待したいですね!