第90回都市対抗野球大会 決勝戦

ともに初戦で劇的な逆転勝ちを収め、その勢いのまま勝ち上がってきたJFE東日本とトヨタ自動車による決勝戦。試合に先立ち行われた始球式は落合博満氏が東芝府中のユニを着て登場、嘗ての名選手&名監督もすっかり子煩悩なおじいちゃんになってしまいましたが、逢澤を相手にドロンと落ちるボールで見事空振りを奪いました。
 

JFE東が本田、トヨタが栗林の先発で始まった試合は初回トヨタが沓掛のレフト前タイムリーで先制も、JFE東は2回に長谷川のレフト最前列に飛び込む2ランで逆転。3回にも1死満塁と栗林を攻め立てますが、ここでギアを上げた栗林は150km/hを出して鳥巣を空振り三振、岡田も左飛に打ち取りピンチ脱出。すると直後の攻撃で2死から細山田がレフトスタンドに高々とホームラン!今大会初ヒットは何と東京ドーム通算1,900号となるメモリアルアーチとなって試合は振り出しに戻ります。
追いついたトヨタは直後に2番手村川を投入。前日先発で4イニングを投げているだけに思い切った起用でしたが、先頭の内藤を内野安打で出すと、続く長谷川はゲッツーコースの遊ゴロも送球を受けた北村が落球しオールセーフ…。これを逃さずJFE東は中澤のポテンヒットで1死満塁とすると、今川が初球を狙い打って勝ち越しのレフト前タイムリー!代わった立野からも峯本の2点タイムリーと鳥巣のタイムリー内野安打で3点を加え、一気に4点を勝ち越します。
とは言えトヨタ打線も黙っているはずはなく、6回沓掛多木の連打で無死1・2塁としたところで本田降板、かずさマジックから補強の橘に継投。西潟を6-4-3に仕留めるも北村にレフト前タイムリーを許し3点差に詰め寄られると、7回には2死1・2塁から沓掛にライト線へのタイムリー2ベースを許しついに2点差に。なお2・3塁と一打同点の場面で、ここで颯爽と須田が登場!超満員の応援席からの須田コールでトヨタに傾いていた流れを一気に引き戻し、多木を三ゴロに打ち取って見事火消しに成功します。
トヨタもその裏から佐竹を投入し、役者が揃った状態に。そして8回の須田は先頭の代打下石の鋭いライナーもファースト岡田が飛びつく超ファインプレー、北村も投ゴロに打ち取り、そして打席には細山田。決勝のカードが決まった時点で誰もが待ち望んだであろう対決は須田がスパイクの紐を結んで一呼吸入れた後、打球は須田の横を抜けるも長谷川カバーし遊ゴロで須田の勝利!
  

一方の佐竹も須田に負けじと、その裏の2死1・2塁で内藤に粘られるも何度か2塁牽制を挟んだ後、それまでノーケアだった1塁に矢のような牽制球!1塁走者の岡田の虚を突いてまんまと牽制刺を決め、ピンチを脱出します。
そしてついに9回に突入。ここまで全試合に登板、この日も3イニング目の須田でしたが球威は衰えを知らず、先頭辰巳をフルカウントから空振り三振、逢澤も空振り三振、そして小河も追い込み最後は外いっぱいの145km/hで見逃し三振、試合終了!JFE東日本が悲願の初優勝を果たしました。

勝利インタビューは落合監督、若手代表の峯本、そして須田。思えば 10年前の決勝 のときに1番を打った落合が監督になり、最後を投げた須田(と佐竹)も若手からすっかりベテランへと成長する一方で、新戦力も続々と台頭。インタビューでも触れられた通り、ベテランと若手が高いレベルで噛み合ったことが今回の栄冠の要因になったのだと思います。おめでとうございます!
  

橋戸賞は須田、久慈賞は佐竹、小野賞JFE東日本チーム、首位打者賞は.429(=6/14)で東芝石川、打撃賞は沓掛、若獅子賞は今川と峯本と日立岡。JFE東日本の勢いは小野賞若獅子賞2人に留まらず、何と応援団コンクールの最優秀賞も受賞。近年のJRとNTTによる寡占状態に見事風穴を空けました。
さて既報の通り、来年は五輪のため都市対抗は11月~12月に行われることに。それに伴い日本選手権やJABA大会も時期が変わり、今まで経験したことのない年になりそうですが、引き続き熱い戦いに期待したいですね!