キューバ優勝おめでとう!

まずは3位決定戦となった日韓戦。日本の先発は藤岡、韓国の先発は前回の対戦で2番手として登板した羅成範。藤岡は1回表を幸先良く三者凡退で抑えると、その裏に2死1塁として打席には伊藤。初戦以来の因縁の対決となりましたが、結果はまたもや2ラン!2回裏には伊志嶺がタイムリーを放ち、羅成範をノックアウトします。4回裏には集中打で6点を挙げ、点差は9点に。
一方の藤岡は5回を1安打無四球、10奪三振のナイスピッチング。後を継いだ野村・中後・加賀美も無失点に抑え、最終回の大石に繋げます。韓国も4番手の林治永が4・1/3回を無失点に抑え、コールド条件を回避。
大石は高宗郁にヒットを許すも後続を絶ち JPN9-0KOR で試合終了、日本の3位が決まりました。



そして18時からの決勝戦キューバアメリカ。試合に先立ち行われた始球式、投手を務めるのはアントニオ・カストロ(前議長の息子)、打者は王貞治一本足打法は今なお健在でした。キューバの先発は日本戦にも登板したゴンサレスアメリカの先発はコール。ともに150km/hを軽く超えてくる投手同士の投げ合いは、キューバが押し気味に試合を進めます。毎回の安打をコールに浴びせて攻め立てるも、コールは3回の1死満塁を併殺で切り抜けるなど粘りのピッチングで無失点。0-0のまま試合は終盤に入ります。
均衡が破れたのは8回でした。表に2死走者無しからアメリカの1番・マジーがライトにソロを放ち先制。アメリカはその裏から2番手のノア・ラミレスに繋ぎ逃げ切りを図りますが、1死からA.デスパイネがソロを放ち1-1の同点に。そのまま試合は9回裏、キューバの攻撃へ。
そして、この回の攻防が試合のハイライトでした。先頭のモレホンが2塁打で出塁し、アメリカ渾身の隠し球も見破られ、ボロトに死球。ここで痛恨の暴投が飛び出しランナーが進塁。1点もやれない状況でマルティンを敬遠し、無死満塁。アメリカが絶体絶命のピンチを迎えましたが、ここで取った采配は真に驚くべきものでした。DHのライトがDHを解除してファーストに回り、ファーストのニック・ラミレスが3番手のマウンドに。これが何と的中し、セルセをピッチャーゴロでホームゲッツー、オリベラを中飛に打ち取り無失点。九死に一生を得て、球場内は熱狂的な空気に包まれました。
大会規定により、延長10回以降は無死1・2塁から攻撃を始めるタイブレークが適用。10回表のアメリカは手堅くバントで走者を送り、敬遠で1死満塁とすると、日本戦で満塁ホームランを放ったスプリンガーの当たりはセカンドへのゴロ。1塁ランナーは封殺されましたがスプリンガーは生き、勝ち越しに成功します。さらに投手となったニック・ラミレスにもタイムリーが飛び出し、点差は2点に。
ここを抑えればアメリカの優勝が決まる10回裏、ニック・ラミレスが続投。先頭のオリベラが深い中飛で1死1・3塁となり、迎えるは前の打席で同点ホームランを放ったA.デスパイネ。ニック・ラミレスの2球目を捕らえ、打球は一直線にレフトスタンドへ…
 
球史に残る大逆転劇で、キューバが第1回大会以来の優勝。喜びを爆発させるキューバ選手と、天を仰ぐニック・ラミレスのコントラストが印象的で、これぞ王者を決めるのに相応しい、観戦できたことを誇らしく思える試合でした。
しかし劇的な幕切れを演出したのがタイブレークの制度というのがまた複雑な気持ちです。サッカーW杯に喩えるならば9回までが前後半90分+延長30分、10回がPK戦という感じで、9回を同点で終えた時点で両チームとも金メダルの価値があるのでは…そんなことをふと考えました。

最後に閉会式。再来年のチャイニーズタイペイ大会でもまた好ゲームを、そして日本は念願の初優勝を!