早稲田優勝おめでとう!

半世紀ぶりの早慶による優勝決定戦という大舞台。思えば鈴木の完投勝利が昨月の2日、それから今日に至る1ヶ月の期間は、まさにこの試合を用意するためのものであったのかもしれません。「優勝決定戦」のハンコが押された (すべて手作業とのことです) 永久保存モノのチケットを握りしめて球場内へ。ちなみにこのハンコが前に使われたのは20年前の立教vs法政の優勝決定戦。法政との死闘に全てを出し尽くした立教は、続く春の開幕戦、東大にウソのように(以下略)…おっと話が逸れました、スミマセン。
 
先発はやはり斎藤と竹内大も、早稲田は打順を大胆に組み替えてきました。首位打者の土生を1番、昨日の新人戦でマスクを被り猛打賞の地引を5番ライトでスタメン起用。その打線が初回いきなり爆発しました。先頭の土生がセンター前ヒットで出塁すると、市丸のライト前ヒットで1・3塁とし、宇高が犠飛を放って先制。さらに山田がライト前ヒットで再度1・3塁とし、地引の二ゴロの間に2点目。続いて杉山の当たりがセカンド内野安打となる間に山田が一気に生還して3点目。なおも松永がショート内野安打で1・2塁、松本もライト前に運んで杉山がホームを突くもタッチアウト。右打者の徹底的にライト方面への当たりを心がけたバッティングが功を奏し、この回6安打で3点を先制します。竹内大は3回に代打を出され、結局3回を8安打3失点で降板。
一方の斎藤、球が浮き始める兆候が2回以降見え隠れするも崩れず、淡々とアウトを重ねていきます。3回には渕上のショートへの深い打球を松永が飛びつき、すぐさま1塁に投げてアウトにする超ファインプレーで斎藤を援護。4回には先頭の湯本を四球で出すも続く山崎錬を6-6-3のゲッツー、6回にも先頭の奥橋を死球で出すも続く渕上を6-4-3のゲッツー。得点どころかヒットすら許しません。
一旦試合を巻き戻し、竹内大が降板した後の2番手は春の胴上げ投手の田中宏。4回は無失点に抑えるも、5回に2死2塁とされ降板、3番手は福谷。松本を遊ゴロに打ち取ったかと思いきや渕上がボールを捌けず1・3塁となり、打席には斎藤。1ストライクの後の2球目を振り抜くと打球は三遊間を抜け、貴重な追加点が早稲田に入ります。さらに6回には安打と2四球で満塁とし、杉山の2点タイムリー。7回に4番手の山形が登板も、宇高がタイムリー。8回は5番手の金子が登板して初めて無安打で抑えたものの、点差は7点。しかも慶應打線は依然として無安打のままです。
しかし何点差でも分からないのが野球というもの、ドラマは8回裏に待っていました。直前の8回表に代打で出場した渡邊侑がセカンド、宇高がセカンドからサード、ファーストが杉山から後藤に交代。守備固めを目論んでのことでしょうが、先頭の宮本真の打球はそのサードへ。宇高がしっかり止めたものの、真下に落とした球を見失いエラー。山口が送りゴロで1死2塁とし、松本和の打球はファーストへの力無いファウルフライ…も後藤がグラブに当てて落球。本来ならノーヒットでこの回も終わっていたはずのところ、生き返った松本和は三遊間を抜けるヒットを放ち、斎藤のノーノーは遂に途切れます。球場の雰囲気は瞬く間に変わり、奥橋・渕上・湯本の3連続タイムリーで3得点!なおも1死2・3塁の大チャンスで打順はピッチャーの金子。
この試合でベンチ入りしていた慶應の投手は竹内大・福谷・田中宏・山形・金子の5人。金子が最後の投手であるため、已む無くそのまま打席に立つことに。その金子、2球目にスクイズを敢行するも見破られ空振り、3塁走者が憤死し2死2塁に。チャンスが遠のいた慶應、ここで金子に代打・伊場を送ります。伊場は懸命に粘った末に死球で出塁、続く4番・伊藤がセンターの頭上を越す2点タイムリー3ベース、一気に2点差に!斎藤はここで降板、大石にスイッチ。一発が出れば同点の場面でしたが、大石は松尾を三振に打ち取り、ピンチを切り抜けます。
金子に代打を送ったことが伊藤のタイムリーを生み、2点差まで迫ったものの、それは同時に投手を完全に使い切ってしまったことを意味していました。そこで何と内野手登録の正木が急造投手として6番手に登板、代打の伊場がそのままキャッチャーに。かつての塾高バッテリーがこの土壇場でまさかの復活を遂げ、球場は大盛り上がり。正木は先頭の大石を二ゴロに打ち取るも、土生・市丸の連打、佐々木に四球を与え2死満塁で打席には川西。カウントが1-3となり投じた5球目、微妙なところでしたが球審の手は上がらず痛恨の押し出し…。さらに続く後藤に対してフルカウントとなった末に放った当たりはサードへのゴロ。捕ったサードが3塁を踏もうとするも自動スタートのため間に合わずセーフ、続いて1塁に投げるもこれが悪送球となり2者生還……。点差こそ開いてしまいましたが、続く松永は投フライに抑えてチェンジ。打球を丁寧に捕り、大切そうにマウンドに置いてベンチに戻る正木を、万雷の拍手が迎えました。
点差が5点に広がっての9回裏、もちろん大石が続投。宮本真を投ゴロ、山口を三振に仕留めてあと1人となったところで、キャッチャーを市丸から白川に交代。早稲田の背番号6があるべき場所に収まった後、正木の代打・福富を三振に仕留め試合終了!

もう何も言えません。ただただ、こんな試合を生で見ることが出来て幸せな気持ちで一杯です。この死闘を戦った両チーム、そしてこの舞台をもたらした6校すべてに、最大限の感謝の気持ちを送る次第です。
   
しかし優勝校である早稲田にはまだ次の舞台、来週末から始まる明治神宮大会が残っています。六大学の代表として要求される結果は最低でも優勝であるということに何ら異論は無いでしょう。健闘をお祈りいたします。