第60回全日本大学野球選手権記念大会 決勝

和田・木佐貫が投げ合った2002年以来、9年ぶりの六大学vs東都対決です。先発は東洋が当然の藤岡、一方の慶應は何と福谷。リーグ戦から昨日までの一貫したリリーフ起用から一転しての先発でしたが、一番信頼の置ける投手であり、福谷以外の投手が先に投げては福谷を出せる展開にはならないだろうという考えによるものでしょうか。
ともに連投となる両先発に対して先手を取ったのは東洋でした。初回先頭の小田がセンター前で出塁し、盗塁を決めて1死2塁。ここで鈴木大地の打球は一ゴロもファーストが弾いてボールはセカンドの方に転がり、その隙に小田が2塁から一気に生還して先制。さらに戸田がレフト前で続き1・2塁、そして藤本がライトライン際に落ちるヒット、一気に2塁へ…と思いきや、先を行くランナーは2・3塁に留まっており、藤本は1塁に戻れずタッチアウト。2死2・3塁となるも緒方は遊ゴロに倒れ、福谷はこのピンチを1点で切り抜けました。
先制された慶應ですが、2回に伊場、3回に鈴木がヒットを放ち反撃ムードを作ると、4回に2死から伊場が四球、続く山崎が粘った末にレフトオーバーのタイムリー2ベースを放って同点に!初回に失点した福谷も2・3回とヒットで出したランナーを盗塁刺・牽制刺で仕留めると、4回5回は三者凡退と、尻上がりに調子を上げ、1対1の同点のまま試合は終盤に突入します。
この時点で福谷も藤岡も連投から来る疲れがありありと見え、我慢比べの様相を呈します。7回裏の東洋の攻撃、1死から岡が2塁打も、後続が凡退して無得点。8回表の慶應の攻撃、先頭・代打の影山が四球を選び、金田が送って2塁に進むも宮本・伊藤が倒れ無得点。そして9回表の慶應の攻撃、先頭の伊場がレフトオーバーの2ベースで出塁、勝ち越しの絶好のチャンスでしたが、強攻策の山崎が捕邪飛、阿加多三振、代打小野寺三振で勝ち越しならず、そのまま試合は延長戦へ。
延長に入っても我慢比べは続き、なおも両者続投。10回表の慶應の攻撃は2死から金田が四球で出塁も宮本三振で無得点。そして10回裏の東洋の攻撃、先頭の岡が追い込まれてからしぶとくライト前で出塁、そして打席には小田。福谷の初球を振り抜いた球はライトスタンドへ一直線!伊藤が見上げた先を越えてスタンドに突き刺さり、劇的なサヨナラ2ランHRで東洋が連覇を果たしました。
 
藤岡164球、福谷139球の死闘は、東都のサヨナラ勝ちという9年前と同じ結末を迎えました。藤岡は準決勝を乾・鹿沼のリレーで乗り切り休養十分だった去年と違い、今年は準々決勝先発で7回、準決勝リリーフで4回を投げての3連投。苦しい場面続きだったものの、3番宮本・4番伊藤を無安打に抑えて乗り越え、ついに小田の値千金の一打を呼び込みました。福谷も昨日の4イニングリリーフに続いての今日の完投。最後は力尽きたものの、8回の藤本への149,151,149km/hを連発しての奪三振はまさに圧巻でした。
最高殊勲選手・最優秀投手は藤岡、首位打者賞は九州共立大の佐藤、敢闘賞は福谷、特別賞は東京国際大。おめでとうございます!