第87回都市対抗野球大会 決勝戦

旅行の荷物を持ったまま東京ドームへ。どちらが勝っても初優勝となる日立製作所トヨタ自動車による決勝戦、それに先立ち行われた始球式は山中正竹さん。昨年の神宮 に続き今回は住友金属監督として優勝した当時のユニで登場、マウンド定位置からの投球でしたが外角に落ちていくワンバンでした。
 

先発は日立が梅野、トヨタが佐竹。ともに準々決勝で完投勝利を挙げ、準決勝で温存された同士の投げ合いが動いたのは2回裏、先頭の樺澤が初球をレフトにホームラン!さらに瀧野も右中間を破る2ベースで続くと、河合が送り多木が初球をレフト前にタイムリー。トヨタがこの回2点を先制し、梅野はこの回限りで降板となります。
佐竹にはこの2点で十分…と言いたいところでしたが、日立も決勝まで残っているだけのことはあり、佐竹から度々ヒットで塁上を賑わせます。しかし3回は2死から田中俊がレフト前も細山田が盗塁を刺し、4回は野中・菅野のヒットで1死1・3塁も中村良二飛・田中政二ゴロ、5回は岡崎・田中俊のヒットで2死1・2塁も野中を空振り三振。細山田との息の合ったバッテリーで淡々とピンチを切り抜けていきます。
するとトヨタ打線は4回、日立の2番手角田に対して1死から瀧野の一塁線の当たりをファースト捕れず、ライト菅野も処理に手間取る間に一気に3塁を陥れると、続く河合がセンターへ犠飛。6回から登板した元西武の山本からも7回先頭の源田がドラッグバントを決め出塁、藤岡はバント失敗も続く北村がバントを成功、2死2塁となって代打坂田がレフト線にタイムリー2ベース!効果的に追加点を奪います。
援護を受けた佐竹の投球は一層冴え渡り、8回終了時点で11奪三振。最終回も当然続投、先頭の林に初めての長打となるレフトへの2ベースを浴びたものの、菅野を左飛、中村良を遊ゴロ、そして田中政を遊ゴロで試合終了!佐竹が堂々の無四球完封で、トヨタ自動車が初優勝を飾りました。

興奮冷めやらぬ中、桑原監督、そして佐竹のインタビュー。日本選手権では4度の優勝を誇りながらも今まで黒獅子旗には縁が無く、「夏に弱いと言われ続けてきたことを見返したかった。これからは常勝トヨタを作り上げていきたい」と涙ながらのコメント。ゴーグルを掛けて飄々と投げる姿とは対照的な熱さに、思わずこみ上げるものがありました。一方の日立も創部100年の節目に初の決勝進出を果たしたものの、一昨年の富士重工業に続き、またも北関東勢初の優勝を東海勢に阻まれる目に。しかしながら見事な戦いぶりでした。
 

橋戸賞はもちろん佐竹。30回を僅か1失点で4勝と圧巻の内容、一昨年は佐伯に譲ったものの、今回は自チームで文句無しの受賞。今春センバツ出場の小豆島とともに今年度閉校となる母校へ最高の錦を飾りました。久慈賞は梅野、小野賞日立製作所、特別賞は初出場で1勝を挙げたきらやか銀行首位打者賞は.588(=10/17)でトヨタ多木、一昨年に東邦ガスの補強で出場した際はエラーで敗戦に絡んでしまうも今回は外野に専念し快打を連発。1年時の大学選手権 に続く栄冠に輝きました。打撃賞は日立中村良、そして若獅子賞トヨタ藤岡・日立田中俊&菅野。酒居1人だった昨年とは一転激しい争いとなり、ベスト4の原動力となった西濃松本らが惜しくも漏れてしまう結果となりました。
さて優勝を果たしたトヨタは続いて日本選手権の舞台へ。もともと得意な秋だけに、昨年の日本生命に続く夏秋連覇に期待したいですね!