第五十四回明治神宮野球大会 決勝戦

まずは高校の部。現行規格のバットで行われる最後の試合は星稜佐宗、作新学院小川哲の両先発がテンポ良く投げ、30分で3回が終了。4回表も簡単に2アウトとなりますが、そこから服部が初球をライトスタンドに運ぶホームラン!星稜が先制します。
佐宗の前に5回まで無得点に抑えられていた作新でしたが、6回1アウトから粒良が内野安打で出塁。続く小川亜の三遊間への当たりはショート𠮷田がよく飛びつき1塁アウト、2死2塁となり、柳沼の打球は三遊間を抜けてレフト前へ。粒良はホームに突入も、レフトの猛チャージからの好返球でタイミングはアウトでしたが、キャッチャーがボールを弾きセーフ!作新が同点に追いつきます。
追いついた作新は直後の守りから2番手の石毛を投入。最初のイニングは3人で抑えるも、2イニング目の8回、先頭佐宗の遊ゴロをショートが悪送球…も佐宗は2塁進塁の意思を見せてしまい、1塁に戻れずタッチアウト。作新にとっては運が向いたと思いきや、そこから𠮷田中谷の連打で1死2・3塁と絶好の勝ち越しチャンス。そして続く芦硲の鋭い当たりはファーストが捕れず、ライトに抜ける勝ち越しタイムリーとなって星稜が2点を勝ち越します。
援護を受けた佐宗はその裏のアウトをすべて二ゴロで取ると、9回も続投し、2アウトから菅谷にヒットを許すも最後は廣田を二ゴロに打ち取り試合終了!星稜が松井以来32年ぶり3度目の優勝を果たし、山下監督は父子2代での神宮大会優勝という偉業を成し遂げました。

続いて大学の部。昨秋の神宮大会、今春の選手権に続き、またも六大学vs東都の頂上決戦となりました。慶應の先発は予想通り中1日での外丸に対し、青学は大会初先発となる児玉。その初球を吉川がいきなりセンター前で挫き、本間廣瀬も続いて無死満塁。試合を決める絶好のチャンスでしたが、栗林空振り三振、続く宮崎が痛恨の5-4-3に倒れ先制ならず…。すると児玉に立ち直られてしまい、5回まで無得点が続きます。
外丸も負けじとどこからでも一発のある青学打線を4回までノーヒットに抑え、5回先頭の渡部に初ヒットを許すも、2アウトから松本の三遊間を抜けようかという当たりを水鳥が追いつき華麗なジャンピングスロー!バックも盛り立て、0-0のまま前半を終了します。
6回に入り、青学は満を持して下村が登板。吉川本間廣瀬の並びを3人で捻じ伏せると、その裏満身創痍の中島がレフト前、西川もセンター前で2死1・2塁。先制点を阻止すべく外野が前に出た状況で、続く初谷のセンターへのライナーを佐藤駿がダイビングキャッチ!!7回にはヒットで出た藤原が盗塁を決め2死2塁の場面で、打席に立った下村が一二塁間を抜けようかという鋭い当たりも、今度は吉川が飛びつき1塁に駆け込んで3アウト!!!3イニング連続で慶應にファインプレーが飛び出し、青学の先制を阻止します。
そして試合は8回へ。3イニング目でも球威の衰えない下村に対し先頭齋藤來は二ゴロ、続く佐藤駿も二ゴロ…も藤原が打球を弾いて出塁。すると外丸のバントを今度は渡部が手に付かず、連続エラーで1・2塁。本来ならチェンジになっていたはずが一転ピンチという状況に、さすがの下村も吞まれたか、吉川に対してストレートの四球で満塁。続く本間にもストライクが入らず、3ボールからの4球目も低く外れて押し出し。まさかの展開で慶應が先制します。下村はなお続投も、廣瀬への初球が外れて9球連続ボールとなったところでたまらず安藤監督がベンチを飛び出し、常廣に交代。その代わり端を廣瀬がライトに深々と打ち上げ、犠飛で大きな2点目が入ります。
ようやく援護を得た外丸はその裏佐々木にヒットを許すも後続を断つと、9回は中田青木星子の代打攻勢を三者連続空振り三振に仕留め、完封で試合終了!2年前中央学院大に四冠を阻止された慶應が、今度は青山学院大の四冠を阻止し、4年ぶり5回目の優勝を果たしました。

試合後は堀井監督・廣瀬主将・外丸のインタビュー。廣瀬のコメント通り、春の開幕戦で法政に0-10で完敗したときは日本一など夢のまた夢という状況でしたが、そこから着実にチームを作り上げて秋のリーグ戦優勝を果たし、神宮大会でも吉川をファーストに回してセンターに佐藤駿を入れる起用が大当たりで、夢を現実のものとしました。そして外丸のインタビュー中にはスタンドから不穏な声が聞こえた気もしますが、それを吹き飛ばすような「最高で~す!」で〆。これで甲子園優勝メンバーが入ってくる来年はどうなるのかと案じてしまいますが、そう易々と黄金時代は作らせまいと、来春の開幕戦で一泡吹かせたいですね!