第93回都市対抗野球大会 決勝戦

昨年の準々決勝の再戦となった今年の決勝戦。試合に先立ち行われた松永怜一さんの追悼セレモニーでは六大学の監督勢揃い(並びが順位通りであれば1969年春なので東大は坪井さんでしょうか)やロサンゼルス五輪金メダルなど懐かしの写真が盛りだくさん。そして始球式はご長男の勝己さん、存分に気を練ってからの投球で見事瀧澤から空振りを奪いました。
   

予想通りENEOS関根、東京ガス益田の先発で始まった試合は初回ENEOSが川口武田の連打でチャンスを作るも無得点。一方東京ガスは1・2回と三者凡退も、3回に馬場のヒットを皮切りに2死満塁のチャンスを作ると、小野田が押し出し四球を選び先制。そして5回、四球と石川ヒットで1死1・3塁としたところで、大久保監督は関根を諦め加藤に継投。しかし楠がその代わり端をライトに3ラン!さらに小野田ヒットと死球四球で満塁となり、加藤は1アウトも取れずに降板…。もはやこれ以上の失点は許されない状況でマウンドに上った補強の長島でしたが、笹川を遊飛、相馬を空振り三振に打ち取り、絶体絶命のピンチを切り抜けます。
致命傷は回避したものの、5回まで無失点の益田相手に4点差は絶望にも思える状況。しかし直後の6回表、先頭川口への死球が試合の流れを動かします。続く武田が右中間を破り2・3塁、山﨑は投ゴロに倒れるも、今大会絶好調の度会がライトに3ラン!1点差に迫ると、続く丸山もライトに同点弾!!一気に益田を降板に追い込むと、急遽登板の臼井からも小豆澤がライトに勝ち越しホームラン!!!怒涛のホームラン攻勢で5点を挙げ、試合をひっくり返します。
この試合初めてリードを奪ったENEOSはその裏も長島が続投。馬場北本を連続三振に打ち取るなど3人で抑えると、3イニング目となった7回は2死から地引ヒット加藤四球で1・2塁も笹川を空振り三振!8回は同じく補強の本間が馬場北本を連続三振に打ち取り3人でピシャリ。1点のリードを保ったまま9回に入り、マウンドには柏原。桐光では準優勝に終わるなどここまで優勝とは縁遠い野球人生が続いていたものの、石川を空振り三振、楠を遊直、そして小野田を遊ゴロに打ち取り試合終了!ENEOSが大会史上最多を更新する12回目の優勝を果たしました。

試合後のインタビューは大久保監督と度会。大久保監督はまず「本当にミラクルを起こしてくれた」と語り、そしてともに戦ってくれた補強選手に関する感謝の弁。長島本間に加えて武田も猛打賞と、文字通り「補強」と呼ぶに相応しい最高の仕事を成し遂げたことで、決勝不敗神話の継続となりました。一方の度会は終始絶叫。チームの主軸として、そしてムードメーカーとして、まさにこの大逆転劇の立役者でした。
 

橋戸賞と打撃賞は度会、久慈賞は益田、小野賞は監督として史上最多となる4回目の優勝を果たした大久保監督、首位打者は.500でNTT東内山、若獅子賞は度会とJR東山内セガサミー黒川。度会は橋戸賞打撃賞若獅子賞の三冠と、賞が両手に収まらない大活躍でした。
さて黒獅子旗が神奈川に還ってきたことで、来年の西関東は3枠が決定。東芝三菱重工Eastと3チーム揃っての大団円…と思わせて伏兵クラブの大躍進にも期待したいですね!

第104回全国高校野球選手権神奈川大会 決勝戦

今春の大会で横浜は桐光学園に敗れ、東海大相模桐蔭学園に敗れ、ともに第2シードからのスタート。新たな時代の到来を予感させましたが、監督が代わってもやはり名門。夏はしっかり仕上げてきて黄金カードの実現となりました。
先発は相模が庄司、横浜が杉山。序盤から両チームともヒット性の打球を量産するも、絶妙なポジショニングとフィールディングでことごとくアウトに持ち込み、わずか50分で5回を終了します。
それでも照り付ける太陽は着実に選手の体力を奪い、6回表の谷口の高いフライは緒方が直射日光と格闘しながら辛うじて捕球したものの、続く庄司のフライは捕れず。それでも杉山は武井をフェンスギリギリの右飛、及川を中飛に打ち取り切り抜けると、7回裏の大坂の遊ゴロを深谷が低投して出塁を許すも庄司が後続を打ち取り無失点。野手のミスを投手がカバーし、0-0のままあっという間に試合は9回に入ります。
そして9回表の相模の攻撃は2アウトから及川がファーストの捕球エラーで出塁も、百瀬二ゴロで無得点。すると裏の横浜は先頭の岸本がライト線に2ベース。この試合初となる長打が飛び出し、サヨナラのチャンスを迎えます。しかし玉城はスリーバント失敗で走者進められず、続く大坂はライトライナー。岸本は既に3塁を回っており、併殺でチェンジ…かと思いきや求の返球が逸れる間に岸本は2塁に帰還。2死2塁で仕切り直しとなり、萩の打球はまたもライト前へ。岸本は改めて3塁を蹴り、求決死のバックホームもタッチを掻い潜り生還!劇的なサヨナラで、横浜が2年連続20回目の優勝を果たしました。

試合終了後は村田監督・玉城主将・杉山へのインタビューと閉会式。相手とチームメイトを称える横浜と、表彰式でも悔しさを隠せない相模とのコントラストが印象的でした。横浜には相模の思いも背負って戦ってもらい、昨年を超える結果を期待したいですね!
   

3年ぶりに真夏の開催となった都市対抗へ。新調されたオーロラビジョンをどう活用するのかが個人的楽しみの1つでしたが、早速試合前の地引10年連続出場表彰が情報量豊かなものに。さらに選手紹介の顔写真も引き伸ばされ、ただでさえでかい中田が一段と迫力満点でした。
 

昨年優勝の東京ガスが益田、JR東海が戸田の先発で始まった開幕試合は東京ガスが再三走者を溜めながらゲッツー等で潰す不完全燃焼が続くも、ようやく5回先頭の相馬がライトポール際にホームラン!大学通算0本の男の一発で先制するも、戸田は後続の3人を打ち取り崩れる予感は無し。しかし6回に小野田がセンターへの2ベースで出塁したところでJR東海ベンチが動き、戸田から川本に継投。付け入りたい東京ガスは7回笹川相馬の連打で無死1・2塁と絶好のチャンスを作るも、馬場のバントが猛チャージした中田の正面に転がり三封、続く北本ショート正面のライナーで走者戻れず併殺…。追加点が遠い嫌な展開が続きます。
それでも益田は崩れず8回も0に抑えると、その裏3番手の喜久川から小林がヒットで出塁。楠倒れてさらに補強の4番手近藤に継投したところを小野田2ベースと死球で1死満塁と攻め立て、代打建部がレフト前に値千金の2点タイムリー!近藤をKOし、5番手の古田からも冨岡が犠飛JR東海の継投を咎めてダメ押しの3点を追加します。
援護を受けた益田は9回も続投。1・2塁のピンチを招き中田には痛烈なピッチャー返しを浴びるも、バウンドが上手い具合に相馬の正面に転がり、そのまま2塁を踏んで試合終了。益田の散発5安打の完封で、東京ガスが連覇に向けて好発進を果たしました。

3年ぶりに横浜スタジアムでの開会式が戻ってきましたが、従来1時間弱かけて行っていた入場行進が、各チーム代表2名による1分足らずの一斉行進に変更。また大会歌演奏も省略されるなど様々な簡素化がなされた一方で、役員・来賓の挨拶はいつも通りでした。そして開幕試合の始球式は高野連元事務局員の泉正二郎さん。嘗てマネージャーを務めた東芝のユニに身を包み、見事なノーバン投球でした。
 

開幕試合のカードは横浜桜陽vs法政二ブラバンも復活し法政らしい応援をバックに付けた法政二は初回2アウトから走者を溜めると、安井三木の連続タイムリーで3点を先制。このまま一気に畳みかけると思いきや、2回以降は桜陽先発の小島が時折見せる超スローカーブなどで法政打線を翻弄し、バックも1年生キャッチャーの佐藤が盗塁を刺すなどエースを盛り立てて復調。打線も法政先発の中山から再三走者を出すものの、積極的に次の塁を狙う姿勢が裏目に出て得点に至らず、両チーム0を並べ続けます。
後半に入り迎えた6回。2回以降無失点を続けていた小島でしたが、1死から出した走者を牽制悪送球で3塁に進めてしまうと、中山がレフト線への2点タイムリー。さらに2死2・3塁から井上にセンターの手前にポテンと落ちる2点タイムリーを許し、コールドの瀬戸際まで追い込まれます。後続は断ち、7回は2番手の加藤巧がライトから登板して佐藤と1年生バッテリーを組むも、安井の2ベースと連続四球で1死満塁のピンチ。続く井出の強い打球をセカンド馬渡がよく抑えたものの、バックホームが高く浮き安井がホームイン…。法政二が7回コールドで開幕戦を制し、桐光との戦いに駒を進めました。

2年前に企画されながらコロナ禍のため中止となっていた第9回六大学オールスター in 愛媛が、ようやく開催の運びとなり詳細が発表されました。
http://www.big6.gr.jp/game/specialgame/2022matsuyama/2022matsuyama.html
今回のチーム名は石鎚マウンテンズ(明法早)と瀬戸内オーシャンズ(慶立東)で、東大からは井澤・鈴木健松岡泰・梅林・宮﨑・阿久津の6人が選出。また四国ゆかりの選手が意外に少なく、村上・浦のリーグ戦経験豊富な法政の2人に留まりました。
メンバーが両チーム20人ずつに限定されており完全に平常とまでは言えませんが、ともかくオールスターが戻ってきたのは何よりの朗報。第1回オールスター以来12年ぶりの松山を大いに楽しみたいですね!

3年ぶり に行われた東都vs社会人の交流試合のために大田へ。到着時には既に身の危険を感じるほどの暑さで、当然のように屋根の下に陣取りましたが、屋根の無い前面の席にはチーム関係者以外にも写真を撮るための観戦者も多く、この試合に賭ける情熱をひしひしと感じました。

第1試合の相手はトヨタ自動車。色とりどりのユニの東都2部選抜と、赤一色の中に補強の金田・伊礼・星田の自チームのユニが目立つトヨタによる挨拶の後試合開始。トヨタは初っ端から積極的な走塁で毎回走者を3塁まで進めると、初回小河の犠飛、2回は併殺崩れ、3回は今井の犠飛と立て続けに3点を奪取して主導権を握ります。
それでも東都は4回向井、5回野澤がそれぞれ1イニングを無失点に抑えると、5回裏にトヨタ2番手の松本から先頭の加藤公がセンター前にヒット。しかも大田独特の高く跳ねるバウンドを不慣れな坂巻が後逸してしまい、加藤公は一気に3塁へ。続く伴野のセンターへの犠飛をまたも坂巻が落球してしまい、東都が1点を返します。
しかしトヨタはセンターを逢澤に代えて試合を引き締め後続を断つと、6回に高橋のタイムリーで追加点。リードを再び3点とし、6・7回と3番手の山内が抑えてさあ8回…と思いきや選手全員がグラウンドに飛び出し整列。東都代表の投手が18人選ばれていたことでてっきり1人1イニング投げるのかと思っていたのですが、どうやらこの猛暑のため急遽7回打ち切りとなったようでした。

2時間のインターバルを挟み、第2試合の相手はNTT東日本。こちらはユニが全員揃っており、補強の分も作成済…と思いきや、よく見たら木田が喜納のユニを着ていました。試合は2回にNTTが1死1・3塁のチャンスを作ると、1塁走者の火ノ浦が挟まれタッチされた直後に3塁走者の中村がホームへ。タイミングはアウトでしたが、キャッチャー大松のタッチを中村が絶妙に掻い潜って生還。さらに朝田のタイムリーで2点を先制します。
その後は東都太田、NTT諸隈の両アンダースローなどの好投で0が続くも、5回にNTTが押し出しで追加点を挙げると、6回は東都樋口が3連続四球で1死も取れず降板したところを攻め、犠飛・伊東タイムリー・ゴロで3点を挙げ突き放します。
5回までNTT投手陣の前に無得点に抑えられていた東都でしたが、ようやく6回、NTT4番手の寺嶋から外山がライトフェンス際に高々と打ち上げるタイムリー3ベース。さらに暴投で2点を返しますが、7回にNTTが木田のタイムリー3ベースで1点を加えると、その裏を小又が抑えて試合終了。リーグ戦を終えた東都とこれから都市対抗が始まる社会人という立場の違いはあるものの、2試合とも社会人が実力を遺憾なく発揮して勝利を収めました。

ハーレム大会に代表を派遣することになり、3年ぶりに行われた平塚合宿を観てきました。そのときは開始早々豪雨により打ち切りとなったため、しっかり観るのは 4年前 以来です。溝口コーチによるノックの後、2チームに分かれて紅白戦を2試合実施。チーム分けは所属大学に関わらず行われたようで、蒔田vs宗山、篠木vs齊藤、加藤vs進藤、青山vs草部、松本vs野口と普段の試合では観ることのできないチームメイト対決を存分に楽しみました。
 

本日の最速は篠木が1球目に出した157km/h。神宮でも153km/hを出しておりまったく驚きではありませんが、それでも2イニング目には各打者しっかり対応してきており、代表候補のレベルの高さを実感しました。そして個人的に目を引いたのは第1試合の紅組3番手で投げた赤塚。195cm112kgと恵まれ過ぎた体格から躍動感のあるフォームで、一体どれだけの球速が出るのだろうと思わせてからの140キロ台。もちろん球速だけがすべてではありませんが、果てしない伸びしろを感じました。